モチベーションのおきどころ

僕はそろばんが使えない。僕の人生において、身につける機会を逸したたくさんあるもののうちの一つだ。

小学3年生のときに、学校の授業でそろばんの使い方を学ぶ時間があった。授業だけではやりかたを飲み込めなかったので、家で母親に教えてもらうことになった。

だがそれでも、僕は使い方がよくわからなず、混乱して半泣きになった。そのときに母親が「やれやれしょうがねえな」という感じで笑っていたのを、強烈に覚えている。そしてやる気を失くした。

今なら母親の笑いの意味を察することができるが、当時の自分には「なんで、そんなこともできねえんだ」と言われているように思えたのだ。

いま思えば、僕の性格をあらわした、象徴的な出来事だと思う。「こんなことも出来ねえのか」と人に言われたり、人との比較の対象にされたものについては、やる気を無くしてできるだけ頑張らない選択をしてきた。

僕の場合、外からの評価によって持ち上がる「悔しさ」は、モチベーションにはなりにくいみたいだ。

だから、競争とか勝負めいたものには全然萌えない。人の中に「オレのほうが凄いぜーお前これできる?」とか「お前凄すぎるよ、オレなんか・・」という匂いを感じると、「うえ〜、勘弁してよ」となってその場から去る(笑)

その代わり、自分でやると決めて取り組み、「あー、まだ出来へんわ」と感じたことについてはしぶとく続けてきた。

そういう性格だと気づいたのは、29歳でマラソンを始めてからだ。語学や、独りしかいない合唱の指揮などが向いているのはそういうわけだ。

僕は今、英語の学習のお手伝いを仕事のひとつにしているが、生徒さんのモチベーションの置きどころは、けっこう注意して探るようにしている。自分がそうであるように、みんなちょっとずつ違うからね。

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