怪しげなおっさんについていって選ぶのは。「マトリックス」

怪しげなおっさん、モーフィアス。みんな、知らないおじさんから貰ったクスリには気をつけるんだ

久々に「マトリックス」を観た。公開されたのが1999年だから、21年前(嘘でしょ)。当時僕は大学1年生だった。1度観ただけでは話が理解できず、2回観に行ったのだった。

この映画の面白いポイントはいくつかあるのだけど、「僕らが思っている現実は、現実じゃなかった」という筋書き上のカラクリも、魅力のひとつだ。

凄腕のハッカーである主人公(若かったキアヌ・リーブス)は、ある日黒ずくめのおっさんからの接触を受け、「いいもの見せてあげるからおいで」と怪しげな部屋に連れて行かれる。そこで、「夢から醒めたければ赤いクスリ、このままぼんやり生きたければ青のクスリを選びなサーイ」と迫られるのだ。

当然キアヌ氏は赤いクスリを飲んで、この世の真の仕組みを知り、びっくり仰天する。まあ半分ネタバレしているようなものだけど、ざっくり言うと「これまで生きてきたのは全部つくりものの夢だった」というような話です。ちなみにこれは映画のオチじゃなくて、物語の最初ね。

ここで、一緒に映画を観ていたお友達や僕の妻と、ちょっとした議論になった。「醒めなくていいんなら、絶対に青のクスリだよね」と2人は言う。たとえつくりものの世界でも、何も知らなければ関係ないじゃん、という発想だ。えっ、そうなんだ。

僕もちょっと真剣に考えてみた。赤いクスリを飲んで目が醒めたら、もう美味しいたこやきを食べたり、おもしろい映画を観られない。現実世界は暗いし寒いし、服はボロい。おまけに常に敵と闘ってるし…。それは嫌やなぁ。

うーん、ちょっと情けないけど、怪しげなおっさんについていって、夢から醒めるほうの選択を僕がやるとは思えなかった。一緒に観てた3人とも、享楽的な人間で、それ以上の話にはならなかった。OWARI。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA