こんなの観たことない!TENET

クリストファー・ノーラン監督の新作映画「TENET(テネット)」を観た。「どんな映画なの?」と聞かれると、とても答えづらい。なぜなら、「難しくてわけがわからなかったから」だ。

何が難しいって、「時間の逆行」と「未来からの侵略」がストーリーの肝になっているところ。これを生かした伏線やギミックが至るところに散りばめられている。1回観ただけでははっきり言って無理だ。

にもかかわらず2時間半の間、はらはらしながら観た。これはすごく奇妙な体験だ。とにかく映像の表現が凄かった。「こんなの観たことないよ」と思った。「時間の逆行」は、「タイムマシンに乗って昔の人たちにこんにちは」という種類のものではない。文字通り、時間が逆に進んでいる世界を主人公たちが駆け抜けるのである。

鳥は後ろ向きに飛んでるし、水滴なんかは「ンャチッポ」と地面から上に飛び上がっていく。その世界の中で、「時が順行している人」と闘ったりする。もうナンノコッチャな世界観だ。でもちゃんと映像になっている。

どうやって闘うのか?一番わかりやすい例で言うと、銃は「撃たない」。すでに撃たれた弾丸が、すごい勢いで銃口に「入っていく」のだ。この仕組みを利用して、落ちている弾丸と銃の間に敵が入ってきたときに引き金を「戻す」。すると戻ってくる弾丸に敵が貫かれるという具合だ。

また、前向きに走る車と、前向きに走っている「つもり」の逆行世界の車が衝突したりする。爆発して炎が出たら、逆行世界では急速に冷えて凍る。こんな具合に、物理の法則があちこちであべこべなのも、観ていて面白かった。

観終わったあと、どうしても理解したくて、インターネットであらすじを詳しく調べて何回も読んだ。そんなことをしなければいけないのがちょっと悔しかったけど、それでようやくいろんなことが腑に落ちた。

ほんとうに「えらいものを観た」としか表現できない。こんなのを作っちゃうなんて、ノーランさん、あなた本当に天才です。なんか凄いものを観たいっていう人には、僕はおすすめしたいです。

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